小中高と杉並の浜田山で過ごしていたころ、母と自転車でよく買い物にきていた荻窪。大学を卒業して最初にひとり暮らしをしたのは、このなじみ深い街でした。今は娘の保育園の送り迎えで毎日通っていて、私にとって非常に縁の深い場所。
荻窪はとにもかくにも「便利」さが最大の魅力。電車のアクセスはもちろん、立派な駅ビルの中は鮮魚から洋服まで、買い物天国。名店と名高い美味しいお店もたくさんあります。それからちょっと裏道を行けば、昔ながらの古いお屋敷がたくさん残っているところも好き。阿佐ヶ谷の我が家から歩いていける街だけど、いつか登録有形文化財の旅館「西郊」に泊まって、荻窪を食べ歩きするのが夢です。
誰にでも胸を張ってすすめられる名物ピザでランチを「ラ・ヴォーリアマッタ」
下高井戸の人気店だったお店が、ルミネ荻窪店に入ったのは13年前のこと。平日でもごはんどきには行列が途切れないほど、荻窪住民に愛されているお店です。ぱりぱりの薄い生地が特徴のピザは、運ばれてきたときはその大きさに驚きますが、とっても軽やかなのでぺろりと食べられる。年配の女性でも、ひとりで1枚食べてしまうこともあるのだとか。こんなに薄いピザはほかでは食べたことがないけど、本場ミラノの製法だそうで、イタリア直送の石釜で焼かれています。私はいろいろ入ったピザが好きなのですが、ここは具の盛り方も、豪快で華やか。味はもちろん見た目でも満たされる一枚です。
週末には様々な年齢層の家族連れでにぎわう店内。我が家も本当によくお邪魔するのですが、2歳の娘がまだ0歳のとき、外食デビューをしたのもこちらでした。とびきり美味しいうえに、スタッフの心配りがスマートで、子連れも年配のグループも、誰もが心地よく過ごせるから、ここまで支持されているのでしょう。行列を見てもひるまずに。スタッフの列さばきが見事なので、思ったより待ちません。
- ラ・ヴォーリアマッタ
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住所 杉並区上荻1-7-1ルミネ荻窪店5F 電話 03-3393-1801 営業時間 11:00〜22:00 定休日 不定休(ルミネ荻窪店に準ずる)
日本庭園でゆるりとおしゃべり散歩を「大田黒公園」
エントランスから一歩足を踏み入れるとそこは別世界。樹齢100年のイチョウ並木がやさしく迎えてくれます。音楽評論家•大田黒元雄氏の屋敷跡を杉並区が整備して、昭和56年に公園として開放しました。森のように木が茂る小道、池から広い芝生をのぞむ東屋、大田黒氏が仕事場として使っていた古い洋館など、さまざまに表情を変える庭園はお散歩にもってこい。愛らしいピンクの洋館には入ることもできて、昭和8年当時のランプや愛用のスタンウェイのピアノなどを見ることができます。
訪れたこの日は紅葉も始まっていて、池の東屋にたたずんでしばし見ほれました。木には名前の書かれたプレートがかけてあり、イロハモミジにコハウチワカエデ、モミジだけでもいろんな種類があるのだなぁ、とお勉強できるのも楽しい。毎年11月下旬から12月初旬にかけてライトアップイベントも開かれていて、大勢の人が紅葉を見に訪れています。この秋、初めて足を運んでみたのですが、派手派手しくない演出がこの公園らしく、とてもシックで素敵だった。
春夏秋冬、いつ訪れてもその季節の花が咲き、大きな木々が見事な枝振りを見せてくれます。
- 大田黒公園
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住所 杉並区荻窪3-33-12
毎日食べたくなるもっちりパンのお店「ハニー」
公園から駅に向かう前に、おみやげを買っていきましょう。私がほぼ毎日愛食しているパン屋さん「ハニー」は、荻窪に長年住む友人が教えてくれたお店。娘を保育園に迎えにいく前に、ここに寄るのを楽しみにしています。
ピンクの壁のかわいい佇まいからは意外だけど、「ハニー」という店名はオーナーの津村さんが大好きなボブ•ディランからきているのだそう。恋人の愛称として頻繁に出てくる「Honey」という言葉から、愛される存在をつくり出すお店の名前をつけたのだとか。オープン当初は焼き菓子屋さんだったのが、どんどん商品が増えていき、小さな店内になかなか食べ尽くせないほどの種類が並ぶパン屋さんになりました。私の大好きなスコーンのクリームサンドに生チョコサンドや、おかず系のサンドイッチも豊富で、近隣の会社員の方々にも大人気。中でも、看板商品のあんぱんは格別。もちもちのパン生地にほんのり塩気に効いたあん、ほかでは味わうことのできない味です。
焼き菓子も健在で、さくさくクッキーやショートブレッドを、よく手みやげに持っていってはよろこばれています。
- ハニー2017年に移転
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住所 杉並区荻窪5-29-8荻窪弐番館1F 電話 03-5397-8611 営業時間 9:00〜19:30 定休日 不定休
ごはんもおやつも大満足のクレープリー「コムデジュルノー」
ここをはじめて訪れたとき、なにを食べてもものすごくおいしくて、感激したもの。パテやムースなどの前菜がちょこちょこのったオードブルに白ワイン、鴨とインゲン、ニンジンのサラダとグリュイエールチーズのガレット(そば粉)クレープ。ひと口食べるごとに、心躍るしあわせを感じました。
フランス語の店名の意味は、「新聞のような」。以前勤めていたお店で、おじさまのお客さんが四角く包まれたガレットクレープを見て、「なんだか新聞みたいだね」と言った言葉がとても印象に残ったのだそう。なんてしゃれた名前。オーナーの矢田さんは、もともとはフランスで3年ほどフレンチの修行をした方。「クレープで、もっとおもしろいことができるんじゃないか」と考え、こちらの専門店を立ち上げました。具のバリエーションは実に豊かで、季節のクレープなど新しいメニューが次々にお目見え。そしてリーズナブルなのもうれしい。
今日は散歩のシメのおやつを食べたかったので、黒こしょうのソルベと洋梨のコンポートがのったクレープを。荻窪の片隅で、こんな美味しいクレープが食べられるとは!
- コムデジュルノー
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住所 杉並区天沼3-30-2 電話 03-5397-8398 営業時間 11:30〜21:00 定休日 水曜