杉浦さやかの女子さんぽのススメin高円寺

高円寺には月に一度、髪を切るために通っています。コテコテの古着とバンドマンの街、というイメージが強く、昔は近寄りがたかった高円寺。あらためて街を巡ってみると、今は古着もロマンチック系から大人寄りまでととても幅広く、ナチュラルな雰囲気のカフェや雑貨店もちらほら。そしてちっとも変わらない、下町っぽい、生活の匂いが漂う商店街。「高円寺」というイメージを覆すお店と、従来のお店が入り乱れ、なんでもありのごった煮が、おもしろい状況に。髪の毛がさっぱりした帰りに、あちこちひやかして帰るのが大きな楽しみです。

懐かしいと新しいが見つかる「えほんやるすばんばんするかいしゃ」

路地裏の秘密基地みたいなお店にぴったりの、じゅもんのような不思議な店名は、ある絵本のタイトルからもらった名前なのだとか。1階のガラス戸を引くとほどよい広さの小さなギャラリー、そのわきの狭い階段をあがると天井から床まで絵本がぎっちり詰まった、屋根裏部屋のような空間があらわれます。めずらしいロシアの絵本も、マニアに人気の絵本も、こどものころに何度も読んだ懐かしい本も、みんな一緒に横並び。専門店だけど、敷居がとても低いところが好き。来るとなにかしらお宝が見つかるのだけど、今回は一生ものを発見! 1946年に発行された、アメリカのティーン向けのマナーブック。電話や手紙の作法、デートにダンスパーティーでの振る舞いが、全編愛らしいイラスト満載で指南されている1冊。甘酸っぱくてかわいい~。こんな仕事をしてみたいものです。1階のギャラリーでは絵本の世界に限らず、イラストレーターに造形作家、興味を引かれる企画がこまめに開かれて、私にとってよりみち度が高円寺一高いお店です。大好きだった絵本や、未知の国の絵本たちを見つけに行ってみてください。

趣きある外観に、特徴的な書体で表現されたお店の看板がマッチします。

趣きある外観に、特徴的な書体で表現されたお店の看板がマッチします。

1階のギャラリースペース。この日は全国の5つの本屋さんから選りすぐりの絵本が集まっていました。

1階のギャラリースペース。この日は全国の5つの本屋さんから選りすぐりの絵本が集まっていました。

大きな梁が特徴的な2階スペース。絵本がぎっしり。

大きな梁が特徴的な2階スペース。絵本がぎっしり。

杉浦さん、気になる本がいくつもあったようです。

杉浦さん、気になる本がいくつもあったようです。

杉浦さんが見つけたお宝『Your Manners Are Showing』。

杉浦さんが見つけたお宝『Your Manners Are Showing』。

えほんやるすばんばんするかいしゃ
住所 杉並区高円寺南3-44-18
電話 03-5378-2204
営業時間 14:00~20:00
定休日 水曜

カフェ激戦区に行かずともとびきりのカフェ、あります! 「カフェ分福」(カフェ分福は2021年に閉店しました)

時々、2歳の娘を連れて髪を切りに行きます。機嫌のいいときはお店めぐりにもつきあってくれるので、ルック商店街で古着を見たあと、はじめて親子2人きりで入ったカフェが「分福」。さまざまなアンティークの椅子にロマンチックな鳥かごやオブジェ、高円寺らしからぬ、パリのカフェのようなシックでかわいい空間! 世界中を旅した元カメラマンのオーナーが、各国で見かけたカフェのエッセンスを取り入れて、つくりあげたお店です。娘は大きなホットケーキとごろごろいちごが入ったソーダにご満悦で、終始楽しそうに大人しくしていてくれました。お店の方の対応が、さりげないのにとても丁寧だったことに感激。子連れだとなかなか好きなお店に入りにくいので、やさしくしてもらえると本当にありがたい。コーヒーに紅茶、日本茶、スイーツからごはん、お酒とメニューはかなり幅広い。メニューに書かれた説明文からは、商品や空間への愛情をひしひしと感じます。どれを頼んでも、間違いなくおいしいもんね。そしておしゃれだけど、近所のおじさまだってひょいと入って来るのが、やっぱり高円寺らしい。

白い壁と薄いグリーンの扉が印象的なお店構え。

白い壁と薄いグリーンの扉が印象的なお店構え。

入口から奥に長い店内。大きめのテーブルや壁面のオブジェなどが目を引きます。

入口から奥に長い店内。大きめのテーブルや壁面のオブジェなどが目を引きます。

杉浦さんがこの日オーダーしたのはイングリッシュスコーン2個セット(485円)と紅茶(ウバ・700円)。

杉浦さんがこの日オーダーしたのはイングリッシュスコーン2個セット(485円)と紅茶(ウバ・700円)。

光がやさしく差し込む入口近くの席でティータイム。

光がやさしく差し込む入口近くの席でティータイム。

カフェ分福
住所 杉並区高円寺南3-23-18
電話 03-3312-4885
営業時間 火~土11:30~22:30、日祝11:30~18:30
定休日 月曜・第二火曜

毎日を丁寧に暮らしたくなる道具屋さん「cotogoto」

こちらも、高円寺にできたときにはびっくりした“ぽくない”お店。シンプルな器にやかん、時計、かご。使い勝手のよさそうな生活雑貨がずらりと並ぶ広い店内。何度か来ていても気づかなかったけど、すべて「メイド・イン・ジャパン」にこだわった品揃えなのだそう。こんなに洗練されたデザインの日用品が、すべて日本製だったとは。びっくりするやら誇らしいやら。作家性にこだわるより、手に入りやすい身近なものがほとんど。ひとつひとつに、産地や使い方の説明がついているのもうれしい。地元だからかなぁと思っていたけど、お店の居心地のよさは、かっこよすぎない塩梅がほどよいからなんだな。品数が豊富なので、贈り物を探すときにも重宝します。結婚祝いに「お盆かランチョンマット」をリクエストされて、ここに探しにきたら、どっちもすごくいいものが見つかって、結局奮発して両方贈ることになったりして。今回は自分用に、きれいで軽い木の椀が欲しくなってしまいました。結婚記念日にちょっといいものを買うことにしているのだけど、今年はこれを3つほど、揃えようかな。

外観から高円寺っぽくない雰囲気が漂います。

外観から高円寺っぽくない雰囲気が漂います。

広々とした店内にセレクトされた家事の道具が並びます。

広々とした店内にセレクトされた家事の道具が並びます。

杉浦さんが気になった木の椀はお店でもおすすめの一品。

杉浦さんが気になった木の椀はお店でもおすすめの一品。

喜八工房の「樫椀」。左からG型、U型、Y型。各3780円。

喜八工房の「樫椀」。左からG型、U型、Y型。各3780円。

cotogoto
住所 杉並区高円寺南4-27-17-2F
電話 03-3318-0313
営業時間 11:00~20:00
定休日 無休

市場の片隅でカンパイ! ユニークなカリーバル「くじら」

高円寺にあまり来たことがない人がいたら、まず案内したいのが、駅北口からほど近い「大一市場」。ひと昔前までは、魚や青果、乾物などを売るお店が並んでいた、昔ながらの屋内市場だった場所。今は10店舗前後の飲食店が入り、往年の姿のまま、ちょっとした飲み屋街を形成しています。裸電球にプラスチックの椅子、カラフルな旗、まるでアジアのどこかの国にいるみたい。その一角にあるのが「くじら」。メインはインドカレーですが、ショーケースの中の日替わりのお惣菜やタパスも豊富で、食べて飲めるかわいらしいお店です。小さく狭い店内だけど、ちゃんとした壁がなく、屋内にいながらオープンエアのような開放感があるのが楽しい。山形居酒屋「音飯」、お隣の無国籍料理「ホエール」など、高円寺内だけでもくじらの系列店がいくつかあるけど、どこも食べ物が抜群に美味しい。ここのカレーも、スパイシーで上品な辛みがくせになる味わい。お惣菜のサフジも、歯ごたえのいい野菜たっぷりで大満足でした。インド系のみならずアヒージョやパテドカンパーニュ、山形サングリアなど、メニューも型にはまらない自由さ。屋台街にいる気分でわいわい、最後は高円寺らしいお店で乾杯!

「大一市場」への入口。ふたつあるうちの「くじら」に近いほうのひとつ。

「大一市場」への入口。ふたつあるうちの「くじら」に近いほうのひとつ。

小ぢんまりとした店内。ひとりで来るお客が多いのだそうです。

小ぢんまりとした店内。ひとりで来るお客が多いのだそうです。

壁に掲げられたメニューを眺めてオーダーを考え中。

壁に掲げられたメニューを眺めてオーダーを考え中。

手前から時計回りに、チキンカリー(700円)、生ハムのグリーンサラダ(300円)、サフジ(300円)、タマリンドサワー(450円)、山形サングリア(赤・500円)。

手前から時計回りに、チキンカリー(700円)、生ハムのグリーンサラダ(300円)、サフジ(300円)、タマリンドサワー(450円)、山形サングリア(赤・500円)。

杉浦さんおすすめはカレーと合わせるサングリア。

杉浦さんおすすめはカレーと合わせるサングリア。

くじら
住所 杉並区高円寺北3-22-8大一市場
電話 03-3336-6566
営業時間 月~金17:00~2:00、土日祝14:00~2:00(17:00〜18:00閉)
定休日 無休

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※本記事に掲載している情報は2015年10月01日公開時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。