自然・文化・カフェを楽しむシェアサイクリングツアー

杉並区では、気軽に自転車を借りられるサービス「シェアサイクル」が各所に整備されている。スマートフォンで簡単に予約・解錠ができ、目的地近くのサイクルポートで返却できるため、散策や観光にもぴったりだ。今回は、フランス出身のモデル・アリサさんとともに、シェアサイクルを活用して杉並区内を巡るサイクリングに挑戦。話題のカフェや歴史スポット、自然あふれる緑道を走りながら、街の魅力を体感した。

杉並区役所前からスタート!アプリで簡単に自転車を借りられる

日曜日。南阿佐ヶ谷駅から徒歩1分の杉並区役所前のサイクルポートに集合した。ここには「ドコモシェアサービス」、「LUUP」、「HELLO CYCLING」の3つのシェアサイクリングサービスがあるが、今回使用したのは白いボディカラーが特徴の「HELLO CYCLING」だ。まずはスマートフォンのアプリを開き、画面上の指示に従って自転車を予約。数回のタップで解錠が完了し、簡単にシェアサイクルを借りることができた。ちなみに、車両の鍵に掲出されたQRコードをスキャンしても自転車の予約・開錠が行える。※利用料金の支払いには、クレジットカードの登録が必要だ。

ヘルメットをしっかり着用し、最初の目的地へ向けて、青梅街道を荻窪方面へ。自転車は車両の一種なので、車道の左側を安全運転に心がけながら走行した。電動アシストが付いているのでこぎ出しがスムーズだ。「普段から子供乗せ電動自転車を使っているので、電動自転車には慣れているつもりですけど、この自転車は乗りやすくていいですね」と話すアリサさんがペダルを漕ぐ姿は軽やか。

シェアサイクルの利用は初めてというアリサさん

シェアサイクルの利用は初めてというアリサさん

後輪に取り付けられた鍵にQRコードが掲示され、スマートフォンで読み取ることで予約ができる

後輪に取り付けられた鍵にQRコードが掲示され、スマートフォンで読み取ることで予約ができる

荻窪のカフェでブランチ。注目の新スポット荻外荘公園もオープン

5分ほど走って最初の目的地である荻窪の杉並区立中央図書館に到着。今日は併設されたカフェ「サンドイッチとコーヒー ampere 荻窪」でブランチを楽しむ。ガラス張りの室内には柔らかな陽光が降り注ぎ、店内は温かな雰囲気に包まれている。ここでアリサさんはカフェラテとグリルドチーズサンドイッチを注文。カフェラテに使用されるコーヒー豆は「ampereブレンド」というグアテマラとブラジルのブレンドで、甘味と酸味のバランスがとれた飲みやすさが特徴。ミルクと合わさることで、ミルクチョコレートのような味わいが楽しめる。サンドイッチに使用しているパンは、焼くことで外はサクッと中はモチっとした食感が楽しめる。


「カフェラテは仕事を始める前のエネルギー補給に欠かせません。自転車に乗るときにもぴったりですね」とカップに口をつけた。カリッと焼かれたグリルドチーズサンドイッチは、ブルーチーズ好きのアリサさんにも好評。「香りの良いチーズの味が口の中に広がって、とてもおいしかったです」と満足そうな様子だった。エネルギーチャージを終え、再び自転車に乗って次の目的地・善福寺川緑地へと向かった。今回は立ち寄らなかったが、中央図書館から徒歩12分のところには、2024年12月に荻外荘公園がオープン。園内にある荻外荘は建築家の伊東忠太が設計し、政治家の近衞文麿が別邸として使った。戦前・戦中の政治の重要な「荻窪会談」が開かれた。周辺の大田黒公園角川庭園とともに「荻窪三庭園」の見学もおすすめ。大田黒公園にはHELLO CYCLINGのサイクルポートが整備されている。

杉並区の公立施設にはサイクルポートが設けられていることもある。中央図書館にはHELLO CYCLINGのサイクルポートがあり、返却可能

杉並区の公立施設にはサイクルポートが設けられていることもある。中央図書館にはHELLO CYCLINGのサイクルポートがあり、返却可能

善福寺川沿いを爽やかに駆け抜ける

善福寺川沿いを走行。舗装されている箇所は走りやすいが、スピードの出し過ぎには注意

善福寺川沿いを走行。舗装されている箇所は走りやすいが、スピードの出し過ぎには注意

善福寺川緑地に向かって住宅街の中を走行。下り坂を降りてやがて善福寺川緑道へ出ると、花の季節にはまだ早かったが、清々しい空気の中を走ることができ、とても気持ちがいい。「自然が好きなので、緑が多くて最高の環境でした」とアリサさんも大満足だ。季節ごとの風景を楽しめるのも、善福寺川緑地の魅力だ。特に尾崎橋周辺は桜の名所として人気。また、子どもが遊べる公園や広場も点在。「桜が咲いたらまた走りたいですね。家族でサイクリングしながら花見をするのも楽しそう」。例えば家庭にある自転車はお母さんと子どもが乗り、お父さんがシェアサイクルを利用するというスタイルも可能だ。うまくシェアサイクルを活用して花の季節を楽しんでほしい。

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お花見ポイント―東京都立善福寺川緑地
https://www.suginamigaku.org/2014/10/hanami-zenpukujigawa-ryokuchi.html
遊びながら交通知識やマナーを学べる杉並区立杉並児童交通公園
https://www.chuosen-rr.com/lookwalk/traffic-playground/

尾崎橋からの眺め(撮影:2021年3月27日)

尾崎橋からの眺め(写真提供:すぎなみ学倶楽部  撮影:2021年3月27日)

杉並区立郷土博物館本館でいにしえの歴史をイメージ

郷土博物館は善福寺川の堤防沿いから入口へ向かうことができる

杉並区立郷土博物館は善福寺川沿いから入口へ向かうことができる

次に訪れた杉並区立郷土博物館。3万年前から現代に至るまでの杉並区の歴史や人々の生活に関する資料などが展示されている。特に人気の古民家「旧篠崎家住宅主屋」は寛政年間(1789年~1801年)に建てられたと推定される。(杉並区の指定有形文化財である)住宅内は大きく「ダイドコロ」「ヒロマ」「デエ」と呼ばれる3間に分かれた「三間取り広間型」となっており、江戸時代中期までの農家の一般的な間取り。

旧篠崎家住宅主屋はもともと下井草5丁目にあった住宅で、1973年に杉並区に寄贈され移築

旧篠崎家住宅主屋はもともと下井草5丁目にあった住宅で、1973年に杉並区に寄贈され移築

ヒロマには囲炉裏が設けられており、土日祝日の午後には火を焚いている。「火入れ」と呼ばれる作業で、茅葺き屋根の保護や害虫駆除効果もある。アリサさんは学芸員の案内で、旧篠崎家住宅主屋の屋内外を見学した。土間や囲炉裏、昔ながらの道具が並ぶ室内に足を踏み入れると、一気に時代がさかのぼったような気分に浸れる。

火をくべた囲炉裏には自在釣で鉄鍋が吊るされている。住宅の中は想像以上に煙たい

火をくべた囲炉裏には自在釣で鉄鍋が吊るされている。住宅の中は想像以上に煙たい

「歴史の深さを感じました」とアリサさん。特に粉を挽く石臼が印象的で「フランスでも、ガレットのように穀物を挽いて食べる文化があり、この道具に親しみを覚えました。間近で見られて興味深かったです」。竹筒で火に息を吹きかけて燃え上がらせる、囲炉裏の火入れにも挑戦した。「煙はすごかったですが、体験できて楽しかったです。子どもを連れてきて、やらせたら喜びそうですね」

常設展示室では画家・高橋松亭による大書「高井戸の夕立」など、杉並区の歴史に関連した展示物が見られる

常設展示室では画家・高橋松亭の作品である「高井戸の夕立」(複製)など、杉並区の歴史に関連した展示物が見られる

松ノ木にある隠れ家のような「イタヤカフェ」でひと休み

大宮夕日が丘広場の梅はかわいらしいピンクに色づいていた

大宮夕日が丘広場の梅はかわいらしいピンクに色づいていた

次は松ノ木の隠れ家カフェ「イタヤカフェ」へ。途中、大宮夕日が丘広場では、丘の上に咲く梅の花に春の訪れを感じ取ることができた。西側が開けており、何棟も連なる関東財務局松の木住宅や松ノ木ゴルフセンターの大きなネットが見える。名前の通り、夕日の眺めもよさそうだ。「公園にもなっていて、ワンちゃんの散歩によさそうな場所ですね」と小さくかわいらしい梅の花を眺めながら、アリサさんは笑顔を見せた。
大宮夕日が丘広場からイタヤカフェへは5分ほどで到着。高円寺駅と永福町駅を結ぶバスも走る松ノ木八幡通り商店街の中にあり、一見すると普通の住宅だ。

松ノ木にある隠れ家のような「イタヤカフェ」で一服

松ノ木にある隠れ家のような「イタヤカフェ」でひと休み

アリサさんはキーマカレートーストを注文。「カレーのスパイスの風味が優しく、トーストのカリカリ感とよくなじんでおいしかったです」と満足そうだった。このほかにハッシュドビーフもおすすめ。トマトソースがよく煮込まれており、秋田県大潟村で作られた特別栽培米あきたこまちとベストマッチする。食後の一杯には産地の個性に合わせて豆をローストすることで有名な堀口珈琲が提供する春のブレンド「プリマベーラ」をチョイス。アリサさんは「コーヒー好きに本当に勧められる味ですね」と感想を語り、充実したティータイムを楽しんだ。

キーマカレートーストにはカレーがたっぷりと詰められており、しっかり食べられる。

キーマカレートーストにはカレーがたっぷりと詰められており、しっかり食べられる。

住宅街を安全に走りながらラストスパート

イタヤカフェでひと息ついた後は、ゴールの杉並区役所を目指してラストスパート。住宅街の細い道を通るので、スピードを抑えながら慎重に進み、7分もすればゴールの杉並区役所に到着。サイクルポートの空きに駐輪し、鍵をロック。アプリの返却ボタンを押すか、鍵についている「RETURN」ボタンを押せば返却完了だ。なお、シェアサイクルは借りたサイクルポートに限らず、空きポートであればどこでも返却可能だ。「最近、杉並区に来る機会が増えましたが、今日巡ったエリアは初めてで新鮮でした」とアリサさん。「フランスの田舎町育ち」と話すアリサさんは「都会でありながら落ち着いている杉並の雰囲気が好き。特に善福寺川緑地は、自然が豊かで印象に残りました。次は子どもを連れて来たいですね」と1日を振り返った。冬を越して長くなった日も傾き始めた頃、今回のサイクリングは終了となった。爽やかな季節にはシェアサイクルを使い、まだ行ったことのない杉並に出かけてみてはどうだろうか。

無事にゴール!お疲れ様でした

取材:水野二千翔(高円寺工房
カメラマン:長谷川肇
モデル:アリサ

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※本記事に掲載している情報は2025年03月31日公開時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。