
本格的な夏が近づき、日が長くなってきたこの季節。夕暮れ時に外を歩くとほどよい風が吹き、心地よく感じられます。今回は、平日の仕事帰りや、いつもより遅く起床した週末の夕方からでも楽しめる、いわば「大人のための夜散歩」にふさわしいコースを歩きます。ご紹介するのは、近ごろ新しいお店が増えてきた阿佐谷北一帯。阿佐ケ谷駅北口を出て、中杉通りをまっすぐ歩くところからスタートします。中杉通りのケヤキ並木がそよぐ気持ちの良い空気を感じながら、夕暮れの時間帯から街歩きをしてみてはいかがでしょうか。
- 古着屋「yahso ヤソー」
- ジェラート「Gelateria SINCERITA ジェラテリア シンチェリータ」
- 本格珈琲「ペンギンカフェ」
- ギャラリー兼立ち飲み屋「VOID ヴォイド」
- 喫茶店「gion ギオン」
従来の古着の概念にとらわれない一着に出会える古着屋「yahso ヤソー」(阿佐ケ谷駅徒歩8分)
阿佐ケ谷駅北口から中杉通りを徒歩約7分、駅前の喧騒を少し離れた場所にある「yahso」は、ハイブランドショップの店長を勤めていた竹内さんが2016年5月にオープンした古着屋です。古着と聞くと「ファッション好きでないと着こなすことが難しいのでは?」と思われる方も少なくないと思いますが、店内に並ぶのは古着に馴染みのない方も着やすい、質感あるシンプルなデザインの洋服の数々。「色を染めたり、サイズを手直ししたり、現代の雰囲気に合うようにリメイクすることもあります。既存の古着の概念にとらわれず、手持ちのアイテムと合わせて気軽に楽しんでいただきたいです」と柔らかな物腰で語る竹内さんならではのセレクトが魅力です。夜遅くまで開いているので、平日の仕事帰りでもふらりと立ち寄れるのが嬉しいところ。ぜひ、自分だけの1着を探しに訪れてみてください。
ガラス戸の入り口で店内の様子が見えやすく、入りやすい雰囲気です。
明るい雰囲気の店内には、セレクトされた洋服が見やすく整理して並べられています。半月ごとに商品を入れ替えているので、来るたびに変わる店内の雰囲気も見どころのひとつ。
店内でかかっている音楽は竹内さんお気に入りのレゲエ。ちなみに、「yahso」という店名はジャマイカのパトワ語からとったそうです。
6月のおすすめはフランス製のアンティークリネンドレス(12,000円+税)。元は白いドレスでしたが、黒色に染め上げることで印象の異なる一着に仕立てています。
穏やかな語り口で取材を受けてくださった店主の竹内さん。お店のある中杉通りの雰囲気も気に入っていると話してくださいました。
yahsoの密かな人気商品、雪駄。岡山の畳職人が手作りしたもので、履き心地の良さに定評があるそうです。
ふらっと気軽に旬の味を楽しめるジェラート屋「Gelateria SINCERITA ジェラテリア シンチェリータ」(阿佐ケ谷駅徒歩7分)
「yahso」で買い物を楽しんだ後は、中杉通りを一本入ってすぐ、松山通り商店街の一角にある「ジェラテリア シンチェリータ」でひんやりと甘いひと時を過ごしましょう。こちらは訪れた人々が店先でジェラートを食べながら思わず顔をほころばす、阿佐ヶ谷の地に根づいたジェラート屋さんです。「素材の生かし方や温度管理など、ちょっとした変化がジェラートの味を大きく左右します」と語るのは店主の中井洋輔さん。その時々の旬の素材で作られたジェラートは、食べ終えた後の満足感も後を引く一品です。毎月の「新作フレーバー」のほか、中井さんがご近所の八百屋さんなどで見つけた食材をその日のうちにジェラートに仕立てることもあり、SNS等での告知なく偶然新しいフレーバーに出会えるのもこのお店の魅力です。
スタイリッシュな店構え。日が暮れてくると、照明のオレンジ色の光が柔らかく差し込みます。
リニューアルを機に、1つ1つのフレーバーを壺型の入れ物に収めるタイプの新しいショーケースを導入。0.1℃単位の綿密な温度管理が可能になったそう。
イートインはカップ入りの場合、ソロ(1フレーバー)が500円、デュオ(2フレーバー)が540円、トリオ(3フレーバー)が580円です。
雨の日には限定の「雨の日フレーバー」も登場。梅雨時期の憂鬱なお出掛けも楽しみになりそうですね。
イートインで「いちごバナナカルダモン」と「キャラメルコーヒー」をいただきました。
- Gelateria SINCERITAジェラテリア シンチェリータ
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住所 杉並区阿佐谷北1-43-7 電話 03-5364-9430 営業時間 11:00〜21:00 定休日 なし(年中無休)
阿佐ヶ谷有数の贅沢空間「ペンギンカフェ」
最初に訪れたのは、2015年12月にオープンしたばかりという「ペンギンカフェ」。旧中杉通り沿いの、駅から10分ほど歩いた場所にあります。窓が大きく陽の光が入る店内は、空間も広々と使っていて居心地が抜群。オススメは、サイフォンのまま提供されるコーヒー(700円)。通常の1杯半の分量があります。「長居は大歓迎」と店主の二羽さんも話すように、ゆっくり味わいながら過ごすのがベター。Wi-Fiも完備されているので、パソコン仕事をするにも最適なカフェです(この原稿もこちらで書かせていただきました)。
ヨーロッパの街角で出会えそうな、おしゃれな佇まい。
あえて席で埋めない内装設計にもこだわりが詰まっています。
挽きたて、淹れたてのコーヒーを。「長く愛される店になりたいですね」と二羽さん。
コーヒー好きの黒田さんも「阿佐ヶ谷でサイフォンコーヒーを飲める店は珍しい」と絶賛。
- ペンギンカフェ
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住所 杉並区阿佐谷北3-28-21 電話 03-5356-8494 営業時間 11:00~21:00(20:00L.O.) 定休日 火曜
ギャラリー兼立ち飲み屋「VOID ヴォイド」(阿佐ケ谷駅徒歩4分)
「ジェラテリア シンチェリータ」でジェラートを食べた後は、中杉通りに戻り、徒歩3分ほど歩いたところにある「VOID」へ。今年3月にギャラリーとしてリニューアルオープンした阿佐ヶ谷注目のニュースポットです。現在、デザイナーの小田島等さんと大澤悠大さんが共同で運営し、イラストレーター、漫画家、写真家、映像作家…とジャンルを問わずさまざまなアーティストが個展を行っています。展示作家さんが在廊することもあり、直接お話しできるチャンスも。「今年3月に漫画家・やまだないとさんの個展を開催した際も、昔からのファンの方々がやまださんご本人に会って感激している様子がとても印象的でした」と大澤さん。さらに嬉しいのは、夜は立ち飲み屋としてアルコールを楽しめるところ。「世界初の”ギャラリー兼立ち飲み屋”なので、ぜひ気軽にふらっと立ち寄ってほしい」と小田島さんが話すように、肩肘張らずリラックスした空間で展示を見ることができます。阿佐ヶ谷内外の人々が出会う新しい場として、これからが楽しみなギャラリーです。
ガラス越しに中の様子がわかり、入りやすいお店です。
奥のカウンターでお酒・ソフトドリンクが注文できます。週末の金・土曜は23時まで営業しているので、仕事帰りの一杯に立ち寄るのもおすすめです。
取材したこの日、VOID初の弾き語りライブ準備前でした。急遽イベントが行われることもあるので、訪れる際はぜひinstagramやtwitterのチェックを。
白い看板が目印。
緑のネオンが目印の阿佐ヶ谷で愛される喫茶店「gion ギオン」(阿佐ケ谷駅徒歩1分)
さて、中杉通り周辺で買い物と散歩を楽しんだら、すっかり夜も深くなってきました。JR阿佐ケ谷駅方面に戻り、家路に着く前に北口にある喫茶店「gion」でひと休みしましょう。ここは今から遡ること約35年前、店長の関口宗良さんがオープンし、今では老舗喫茶店として愛されるお店。朝8:30〜深夜2:00まで年中無休で営業しているので、夜に阿佐ヶ谷に立ち寄ってもゆっくりお茶や軽食を楽しめます。お店をはじめた時からずっと変わらない営業時間で、平日は近所の常連客が多く、読書やおしゃべりを楽しむ人々で1日中客足が絶えません。「自分自身がお客さんとして通ってみたいと思うくらい、少しずつ理想のお店像に近づいてきました。これからもお客さまと、私たち店員とで、一緒に素敵な時間を過ごせるお店にしていきたい」と静かに語る関口さんのもてなしの心遣いが詰まった空間です。
夜になると、店名を冠した緑のネオンがじんわり輝きます。
ブルー、オレンジ、グリーンと色鮮やかな照明が交差する店内。「来てくれた方に喜んでもらえたら」という一心で関口さんが作り上げてきた内装も魅力の一つ。
「生花が好きで、必ず飾ることを心がけています」と関口さん。
今回頂いたのはワッフル(520円)とアイスコーヒー(450円)。ワッフル生地に入ったみじん切りのオレンジの皮が爽やかに香る。
関口さんおすすめのアイスコーヒーの飲み方は、付属のエバミルクを一気に注ぎ、混ぜずにグラスから直接飲むこと。ミルクの風味が口いっぱいに広がり、なんとも贅沢なお味です。
一人で来店した際は、カウンター席でゆっくり読書を楽しむのもおすすめです。
- gion ギオン
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住所 杉並区阿佐谷北1-3-3 電話 03-3338-4381 営業時間 9:00〜22:00 定休日 なし(年中無休)