高円寺フェスで行われる座・高円寺のイベントは、昨年10回目の節目を迎え、1回目から登壇し続けるみうらじゅんさんのインタビューを行いました。そこで今年は、みうらさんと同様、もう一方のトークイベントを10年担当する大槻ケンヂさんに登場いただきます。これまでの高円寺フェスを振り返りながら、幼い頃から馴染み深いという高円寺についてあれこれ伺ってきました。(インタビュー協力:高円寺フェス実行委員長・佐久間ヒロコ氏)
高円寺フェスを振り返る
―今日はお忙しいところありがとうございます。早速ですが、これまでの高円寺フェスを振り返りながらお話を伺っていきたいと思います。
大槻:新宿のロフトプラスワンなどで「のほほん学校」というトークイベントをやっていたので、それを高円寺フェスに持っていこうという趣旨で始まったんでしたね。
佐久間:初めは、みうらさんと大槻さんのおふたりで、ということでお話させていただいていたんですけれど、そうすると一回で終わってしまうんじゃないか、という声も出ていて(笑)。
大槻:高円寺フェスはそのときから2日間だったんですか?
佐久間:そうですね。高円寺フェス自体は2007年からスタートしているんですが、2009年に座・高円寺ができて、そのホールを使ってトークイベントをやろうというときに、初めにオファーをさせてもらいました。その後、毎年やっていこうとなったときに、別々のイベントにする方がいいんじゃないか、という話になったんです。それで、1日目にみうらさん、2日目に大槻さんにお願いしよう、と。
―2009年の記念すべき第1回目は、ゲストに元アンジーの水戸華之介さん、ロマンポルシェ。の掟ポルシェさん、ニューロティカのアツシさん、マキタスポーツさん、ギタリストの宮脇てつやさんと、豪華ラインナップで行われました。ずばりテーマも高円寺だったと聞いています。
大槻:ああ、そうでしたね。高円寺を色々と歩いて写真を撮った記憶がありますね。楽しかった印象があります。
―続けます。2010年の2回目は、水戸華之介さん、掟ポルシェさん、それからGO-BANG’Sの森若香織さんでした。
大槻:森若ちゃん出てくれた? ああ、そうでしたね。掟さんは次も出てくれていますか?
―はい。2011年は、掟ポルシェさんと、あとはダイアモンド☆ユカイさん、ニューロティカのアツシさんのお三方でした。
大槻:その2回目の年の高円寺フェスとは別のイベントで、みんなで歌を披露したことがあって、掟さんから自分もミュージシャンなのに歌を歌う機会がなかった、という話があったんです。そのとき、「掟さんはそういうミュージシャンとしての矜持(きょうじ)があったのか」と思って、翌年の高円寺フェスで、掟さんに一曲お願いしますということで、『全裸で書いたラブレター』という曲を歌っていただいたんですね。歌いながら、掟さんが会場中を練り歩いて歌った、という記憶がありますね。
―座・高円寺の中を。
大槻:そうですね。ユカイさんも来てくださって。お招きしました。
―ユカイさんはこのときだけみたいですね。それから2012年は、水戸華之介さん……
大槻:おお、水戸さん、そんなに出てる!?
―ええ、これで3回目ですが、まだこのあとも出てらっしゃいます。あとはヌンチャクアーティストの宏樹さん、人間椅子の和嶋慎治さんでした。
大槻:宏樹さんはね、ヌンチャクの達人で僕をすごくリスペクトしてくれていてね。そもそも彼は北海道の人なんですが、高円寺に住んでいたことがあったんです。高円寺に住めばオーケンに会えるんじゃないかと上京して、それで、氷川神社の中でいつもヌンチャクの練習をしていたそうです。でも、僕と会うことは一回もなかった、と言っていましたね(笑)。
―そうなんですか(笑)。
大槻:しかし、いつもこうやってオーケン人脈でゲストを呼んじゃっていますけれど、そうじゃない方を呼べるルートとかはありますかね。
佐久間:いや、でも、大槻さんの人脈でやっていただくのが一番です。
大槻:ガラケーが壊れてから誰の連絡先もわからなくなってしまってね(笑)。
佐久間:みうらさんが、ゲストがかぶっちゃうんじゃないかって少し心配されることはあるみたいですけれど(笑)。
大槻:僕の人脈だとどうしてもミュージシャンになってしまって広がらない部分もあるかもしれないなあ。みうらさんはどんな方を呼ばれているんでしょう。
佐久間:みうらさんも親しい方を呼ばれていますね。今年は安齋肇さん、去年はいとうせいこうさん……。
大槻:ああ、なるほど。そういえば前野健太君が出たときは、観に行きましたね。
―そうでしたか! でも、みうらさんが、大槻さんとゲストを取り合っている感じが面白いんだよね、とおっしゃっていました。
大槻:人間椅子の和嶋さんなんかは共通の友人ですね。
佐久間:結構いらっしゃるんじゃないですか、共通のご友人は。
大槻:そうですね。昔、「イカ天」というテレビ番組で、みうらさんが「大島渚」というバンドで出演したことがありました。その番組に出ていた、サブカル的というか高円寺的というか、変わり種のバンドの人たちはみんな、みうらさんのことをリスペクトしていて、みうらさんも交えてよく高円寺で飲んでたんですね。今もまだあるかな、ガード下にあった、ちゃんこ鍋のお店……。
佐久間:はい、まだありますね。「ちゃんこ谷」さん。
大槻:あ、まだありますか。そことか、あとは「一番星」というお好み焼き屋さんとか。あとはやっぱり「抱瓶」。よく飲んだな。僕は「イカ天」はゲスト出演だけで出場者ではないんですけれども、そういうメンバーで一緒に飲みに行ったりしていました。だからわりとバンドを介した人脈は、みうらさんとかぶるところがあるかもしれないですね。
―みうらさんとどこかでトークイベントをやられたことはあるのですか?
大槻:みうらさんとは4年くらい前に、高円寺の「ShowBoat」というライブハウスで弾き語りのツーマンをやりました。でも、そうしたら、お客さんの大方がトークショーだと思って来たみたいです(笑)。
―(笑)。
大槻:まあ、みうらじゅんと大槻ケンヂだとそう思うよなって、みうらさんも言っていましたけれどね。で、みうらさんが急きょ、歌を2曲くらいにして、あとは自分の持ち時間でトークをしたというのが非常に印象に残っていますね。みうらさん、みんながそう思ってたことにショックを受けて。じゃあそうするかって。
―優しい(笑)。ちゃんとお客さんの要望に応えるという。で、高円寺フェスのゲストに話を戻しますが、ざっとお名前だけ挙げさせていただきますと、5回目の2013年は、また水戸華之介さんと、和嶋慎治さん。2014年は頭脳警察のPANTAさん……
大槻:PANTAさん! そうか、お招きしたなあ。
―あとはアーバンギャルドの浜崎容子さんと松永天馬さんと、アイドルグループのNegiccoさんでした。
大槻:そんなに出てくれてたんですね……ああそうだ、そのときはライブショー形式にしたんだったかな。僕がずっとギターを持って。
―お呼びになるゲストによって、今回は演奏中心で行こうとかお決めになられるんですか?
大槻:座・高円寺はね、音がとてもいいんですよ。アコースティックギターなんか弾くとね、いい音がするんですよ。高円寺フェスが始まったちょっと前くらいから、僕はアコースティックギターの練習を始めていて、ちょうど弾きたがりだったところもあって。それで、座・高円寺は音がいいんで、徐々に歌う機会が多くなっていったのかな。
―なるほど。
大槻:箱には、利点とそうでない点があって、例えば新宿ロフトプラスワンとかだと、それほどいい座席ではないので、お客さんがステージの方に前のめりになってくれるから、どんなトークをしても盛り上がるところがある。けれども、座・高円寺の場合は、演劇の箱でしょ。だからわりと、居住性がいいんですよ。お客さんが、前のめりになるというより、リラックスしてしまう。だからどうしても、(ステージの方にぐっと)来ないんですよ。それから、ロフトプラスワンだと、その公演を目的に観に行くというのがあると思うんですけれど、高円寺フェスだと、大きなイベントのひとつのアトラクションだから、ふらっと行ってみようかというような一見のお客さんも少なからずいらっしゃるんですよ。だからね、そういう方々に楽しんでもらうというのは難しいなと感じていますよね。
―そういうところも考えながら、なのですね。
大槻:こういうトークライブは基本、お客さんは笑いたいんですよ。僕としては、マニアックな方を呼んでマニアックな話をして、それを僕がステージ上で聞いて楽しめればそれで完結というのをやろうと思っていた。でも、新宿ロフトプラスワンとかも経験してわかってきたんだけれど、お客さんはね、トークライブは笑いたいんですよ。だから、どうやってエンタメの方向に持っていったらいいかと考えるんですが、でもそうすると、なぜミュージシャンが抱腹絶倒イベントをやらなければいけないのか(笑)、と思うようになるんです。だからそのバランスはよく考えますよね。
―神経をお使いになってらっしゃるんですね。
大槻:それで例えば、僕関係の、筋肉少女帯のメンバーが出てくれる場合は、筋少ファンの方が来てくれて、そうなるとゲラゲライベントなどのエンタメは特に求められていない。高円寺も求めていない。求めているのは筋肉少女帯なんですよ。
―そうですよね。
大槻:まあでも、そうなると、さじ加減というのかなあ、だったらファンイベントでいいもんな、というね(笑)。
佐久間:ただここ数年は、チケットは販売開始から数時間でソールドアウトになります。だから多分、わかってらっしゃる方がほとんどだと思います。3分の2くらいは常連さんじゃないですかね。
大槻:ああ、もう浸透してくれているんですね。それは嬉しいですね。
佐久間:お客さんは、高円寺フェスに来るというよりはトークイベントを聞きに来るという方が多いと思います。ですから、もはや高円寺ネタじゃなくてもいいと思いますけれどね。
大槻:高円寺フェスを除いても、自分がやるものの中ではトークイベントというのが一番難しいんです。筋肉少女帯や特撮だったら出ていってバンと歌えばいいわけですよ。弾き語りだったら出ていって演奏すればいいわけですよ。そういう中でトークイベントというのは、トークもあってゲストもお招きして歌もあって映像もあって、そして司会進行までひとりでやるということなのでね。最近はそうでもないんですけれど、10年くらい前まではね、実は胃が痛くなる思いでやっていたんですね。
―(笑)。そこまでされていたんですか。
大槻:そう(笑)。で、あるとき、なぜミュージシャンのオーケンが、こんなに毎回トークイベントで胃が痛くならないといけないのかと思ってね。考え込むのを辞めたんです。……例えば、みうらさんはもっと自由にやっているんじゃないですか。だから自分も楽しむ方向でやろうと思い始めてはいますけれどね。
―お客さんが求めてくるものなども気にせずに。
大槻:プラスワンとか、それ以外でも色々と「のほほん学校」をやってきたんですけれど、座・高円寺のテイストはプラスワンなどとは違いますからね。あ、そういえば、水戸さんが最初、いつものプラスワンのゆるいノリで入ってきたんですが、座・高円寺のステージを見て、「ちゃんとしてるぞ! おい、大槻、これはヤバいんじゃないか。ここでやるのか!?」と言われたのを思い出しました。
―(笑)。たしかにそれはそうですよね。先ほどおっしゃっていた前のめり感とか、座席の質感なども違うでしょうし。
大槻:そうですね。でも、色んな人のトークイベントを観に行くと、たいがい自由にやっていますよね。僕の場合は、1分単位で予定表を作っているんですが……例えばここで映像を出す、とか。そういう手書きの予定表を渡すと、もうね、みんなびっくりする。
―それはそうでしょうね(笑)。
大槻:うん、サブカルイベントでこんなのあり得ないって言われるんですよね(笑)。
―そうやっていつもカチッとディレクションをやってらっしゃるんですか。
大槻:多分、僕がテレビタレントや生放送のラジオを経験したからなんでしょうね。そうすると、何時何分にコマーシャルとか、きっちり決まっているから。そういうのが染み付いているから、テレビの番組を一本作る気持ちでトークイベントを作っていたんですよ。だからゲストさんの話が盛り上がっていてもパッと切る、みたいな感じでやっていたんですよね(笑)。今は段々ゆるくなってきましたけれどね。
―サブカルイベントなのに(笑)。
大槻:そう。酒飲みながら3時間とかやってる人、いっぱいいるというのに(笑)。
―いると思います(笑)。
大槻:あと、僕は、バカ映像と言うのかな、おもしろ映像というのを、テレビからダビングしたり自分で作ったりして、持って行って流していたんですよ。今だとYouTubeになると思いますが、当時はテープだったので、最初の頭出しとかちゃんと家で事前にやっておいてね(笑)。ある時、なんで俺はミュージシャンなのに、こんなバカ映像の頭出しに神経注いでいるんだと思って辞めたことありましたけれどね、イベント自体を。
―(笑)。
大槻:そのうちにYouTubeが出てきて、若い人が普通にスマホで何でも見られるようになったでしょ。だからある時から、そういうのをイベントで流さなくなったんです。そうしたら、お客さんから手紙なんかで、別にバカ映像を求めていたんじゃない、大槻ケンヂその人やトークを求めていたんであってそういう映像を見たいわけではない、と言われましてね。ガーン! となりましたけれどね。俺の苦労はなんだったのかと(笑)。
―座・高円寺でも映像を流していたんですか?
大槻:やりましたよ。宏樹さんが来たときは、僕もヌンチャクを練習しているので、ダブルヌンチャクとか目隠しヌンチャクとかを自分で撮って流したりとか。色々やりました。
―それは面白いですね(笑)。
大槻:YouTubeがない時代にも、バカ映像マニアとか結構いて、僕もそのひとりだったんだけれど、みんなバカ映像をVHSにダビングして持っていたんですよ。で、そういうのも流してましたね。……あと他にはどんな方が来てくださってましたかね。
―そうですね、では2015年ですが、三柴理さん、和嶋慎治さん、ポカスカジャンさん、というメンバーだったみたいです。
大槻:ああ、ポカスカジャンさん。来てくれたね。
―続けてしまいますね。2016年は、筋少メンバーの橘高文彦さん、夏の魔物、怪談・オカルト研究者の吉田悠軌さん。
大槻:吉田さん、色々と怖いスポットを探索している方なんですけれど、このときは全国の混浴露天風呂に出没する覗きの集団「ワニ」の衝撃の映像を公開して、客席が騒然としましたね(笑)。
―それはすごい。そういうのもある種のバカ映像ですね。
大槻:まれにご家族連れとかで来てくださる方もいるので、ハッとします(笑)。
―座・高円寺でそれはチャレンジングかもしれないです。大槻さんも事前に知らされていないわけですよね?
大槻:でもまあ、吉田さんならば、それくらいのことはあるであろうなと。「ワニ」は、新宿プラスワンならOKかなということでもう一回扱ったことがあるんですけれど、そこには母と子で来てくださったお客さんがいてね、しまった! と思いましたね。「ワニ」の速報をかけてくれたんですけれどね。あれはちょっと、ね。で、オカルトがこのあたりから入ってきたんですね。
―そうですね、2017年が、筋肉少女帯の内田雄一郎さん、橘高文彦さん、本城聡章さん、そして氣志團の綾小路翔でした。それで昨年2018年に、オカルト研究家の山口敏太郎さんと、再び橘高文彦さん、本城聡章さん、というランナップです。
大槻:ああ、敏太郎さん。そうそう、そうなんですよ。ちょっとここでね、色々と悩んでいるうちに、筋肉少女帯というのはどうだろう、となってね。
―(笑)。そうですよね。たしかに、なんで今まで出てらっしゃらなかったんだろう、という。
大槻:ファンの方が普通に喜んでくれました。筋肉少女帯というゲスト案もあったな、とここで気づいたんですよね。
―近すぎて気づかなかった(笑)。
大槻:そうですね。あ、あとひとつ思い出した。一度、怒髪天の増子直純さんに来てもらおうとしていて、来てくれたんですけれど、ところが、1ヶ月前だったんですよ。
―え、どういうことですか?
大槻:あのね、増子さんからLINEが来てね……「今日、座・高円寺に行ったら、オーケンのイベントは1ヶ月後だと知りました」って。
佐久間:本当ですか(笑)?
大槻:これはね、ミュージシャンあるあるでね。わりとあるんです。
―(笑)。1日間違えた、とかでないんですね。
大槻:結構あるんです。
佐久間:9月と10月を間違えた、と(笑)。
大槻:はい。前に中野サンプラザでライブをやったときも、えんそくのぶう君を招待したんだけれど、1ヶ月前に来て、「筋少ではなくアジアン・カンフー・ジェネレーションがやっています」という衝撃のLINEが来ましたね。
―衝撃ですね(笑)。
大槻:いや本当に、ミュージシャンだと結構あるんです。そうか、増子さんはまた改めて招待してみようかな。
―怒髪天は、たしか西荻窪が拠点です。何年か前に、西荻窪のローカルなイベントで、小学校でライブもされていました。
大槻:そうか、じゃあお招きしてみよう。
−他にどなたかお呼びしてみたいなと思われるゲストはいらっしゃいますか?
大槻:僕はみうらさんとやりたいんだけどなあ。
佐久間:それはもう、高円寺フェスが終わる時です(笑)。もう今年でやめよう、という時に、最後にやっていただきたいです。
―みうらさんも、最後は大槻さんとやりたいとおっしゃっていました。
佐久間:まだちょっと終わらせられないんで、もう少し続けていただきたいです(笑)。
大槻:そうですか。みうらさんとやりたいなあ。
佐久間:先ほどの増子さんですが、1ヶ月前に来られて、本番当日の予定はもう埋まってしまっていたんですか?
大槻:駄目だったんです。中野サンプラザに来てくれたぶう君も、ライブ当日は駄目だった(笑)。
―残念(笑)。
大槻:ミュージシャンはね……俺もやったことありますしね。あれ、今日じゃないの!? って。
高円寺の街は今
―さて、ここまで高円寺フェスをざっくり振り返ってきましたが、高円寺にはこのイベントのとき以外にも来られますか?
大槻:そうですね、最近は高円寺率が減っていて……たまに来るとお店がどんどん変わっていて、「高円寺HIGH」のあたりとか中通り商店街とかを歩いても、あれ、こんなお店ができてる! みたいになりますね。
―たしかに、そうですね。
大槻:でも、どんどんいい街に変わってきている印象です。来るたびにいいなと思いますよ。
佐久間:大槻さんがよく来られていた頃とはだいぶ変わりましたよね。
大槻:最初は……40数年前ですね。その頃から僕は高円寺に来ているんですが、そんなにサブカルの街じゃなかったと僕は言っているんですね。
―おお、そうですか。
大槻:なぜそうなっていったかと言うと、南こうせつさんが一時期、あづま通りを真っすぐ行って早稲田通りに出る手前のある布団屋さんの2階に住んでいたらしくて、というような、まあ、フォークの人たちがいたわけですよ。で、吉田拓郎さんが「高円寺」を歌って、なんとなくそういう雰囲気になったところに、それに憧れたみうらじゅんさんが来た。それで、みうらさんが「高円寺は日本のインド」だと言ったわけですが、僕も元々が高円寺の辺りだったんで、それを広めたんですよね。「日本印度化計画」とか歌ってね。そして、それを聴いて「高円寺は日本のインドなんだ」と憧れた地方の人たちが、東京に来る時に高円寺に引っ越してきたんですよね。中野区の大和町とかだと家賃も安いから。それで、そうした世代が、高円寺をサブカルの街にしていったんだと思うんですよね。
佐久間:みうらさんと大槻さんがサブカルの火付け役だったと。
大槻:そうですかね。だからフォークからサブカルの街になったのは……みうらさんが糸井重里さんに「高円寺を捨てろ」と言われたからですよね(笑)。「高円寺に住んでいたら一生売れないから、高円寺を捨てろと言われた」という、その一言だと思うんですよ。ああ、糸井さんにディスられる街というのは、これは本当にがっつりサブカルなんだと(笑)。
―たしかに(笑)。その話は有名ですが、そこからなんですね。
大槻:多分。あと、こないだドレスコーズの志磨遼平君と会ったんですけれど、彼はあづま通りにある「ヨーロピアンパパ」で働いていたんですってね。「よく大槻さんを見ました」と言われました。
佐久間:一度『SHOW OFF』でも取材させてもらいましたよ。
大槻:こないだパリコレに出た、モデルにスカウトされた子も……。
佐久間:そうです、高円寺なんです。彼も取材させてもらおうと思ったんですが、もう引っ越しちゃったみたいなんです。私の印象だと、高円寺はパンクスとサブカルの街というイメージなんですが、最近の若い人たちの多くは高円寺をおしゃれな街だと思ってるんですよ。
大槻:いや、おしゃれですよ。
佐久間:ええ!? 本当ですか?
大槻:僕も一時期、「下北か?」と思ったことがありましたけれど、下北同様のおしゃれ化が特化されてきたか、と。ルック商店街の方とか、どんどんおしゃれになってきていて、いや、大したものだなと。
佐久間:(笑)。そうですか。でも、女性率は高くなって、最近はきれいな子も多くなりました。
大槻:多くなりましたね。いい感じに明るさと怪しさがマッチングしているので、高円寺、面白いな、また来ないとな、と思っています。でも、あまり酒を飲まなくなっちゃったからね。
佐久間:ああ、そうなんですか。
―それにしても、高円寺には大槻さんの遺伝子というようなものが、あちこちに偏在しているんじゃないかなと思います。
大槻:ああ、それはありますよ。僕に会えると思ったからヌンチャク宏樹さんは高円寺に住んだからね。僕に会いたくて高円寺でヌンチャク修業をするって最高ですよね(笑)。
佐久間:(笑)。でもそれで夢が叶ったわけですよね。高円寺フェスで一緒になって。高円寺は夢が叶う街って、今、一生懸命PRしているんです。
大槻:いや、でも本当にそうですよ。あと、僕はね、常に高円寺フェスというのが頭にあって(笑)、ゲストをどうしよう、と思いながらすぐ時間が経っちゃうんですよ。でも、ひとりというのも考えているんですよね。スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションみたいに、ひとりで話をしてみたいという気持ちもあるんですよね。
―それもありですよね。でも、これまで色々な方を呼んでらっしゃるわけですが、テーマのようなものはその時々で考えてらっしゃるのですか?
大槻:ゲストさんをお招きしてから、ですね。2時間で終わらせようと思いながらね。長くやろうと思えばいくらでも長くできるんですよ、イベントって。僕は2時間から2時間半でピタッと終わらせて、あとは高円寺の街に繰り出してもらって、お店で美味しいものを食べてもらって、というのがいいと思ってるんですよね。だから、ダラダラと長くやらないようにしようと思っています。
―我々の観光プロジェクトもまさにそれを目指しています。大槻さんのトークを聞きに来ていただいたら、そのあとは街に出ていただく。ですので、お客さんにそうやって呼びかけていただくというのは、有り難いと思っています。
大槻:いいお店がいっぱいありますから。なんか行きたくなってきたなあ。
―観光的な切り口で見る高円寺はいかがですか?
大槻:僕は観光地としての高円寺というのは絶対あると思います。中野のブロードウェイは、休日になるとオタクの外国人観光客でいっぱいになるんですよ。ブロードウェイというのが、ランドマークとしてわかりやすい、というのがありますからね。翻って、高円寺の場合は、ランドマークがない。だから、わかりやすいランドマークタワーみたいなものがあればいいんじゃないかなと思います。
―なるほど。高円寺の魅力は、中心がなくて雑多な感じがまだ残っているところかと思っていましたが。
大槻:座・高円寺がもっとそういう機能を持てばいいのかもしれませんけれどね。隣の駐車場のところにオタクビルみたいなのを作るとか(笑)。フィギアとか、みうらじゅんさんのグッズとかも置いて……。
佐久間:あ、みうらじゅんさんの博物館……(笑)。
大槻:それ、いいですよ(笑)!
佐久間:でも、中野とは差別化しないといけないですけれどね。
大槻:ブロードウェイからも意外と歩けるよ、みたいなアピールでも。区を越えて連携できればいいんじゃないかな。例えば中野のマルイにも、もっとおしゃれになってもらって、そうすればそこに来た子たちがブロードウェイにも行って、その勢いで高円寺にも行く、というような流れもできるんじゃないかな。
佐久間:ああ、いいですね。でも中野がサブカルと言っても、ブロードウェイの一角だけですよね。
大槻:やっぱりわかりやすいですよね。ブロードウェイはランドマークとして象徴しているから。
佐久間:あと高円寺は、なにがサブカルなの、という面もあるかも……。
大槻:高円寺は住んでみないとわからないところがあるんですよね。まあでも、「みうらじゅん記念館」は、すごくいいと思う(笑)。「いやげ物」をたくさん置いて、「ムカエマ」も掛けておいて。「みうらじゅん記念館」を作りましょう(笑)! それがベストです。
―みうらさんセレクトの、もらっても嬉しくない土産物やムカつく絵馬をずらっと並べておく、と(笑)。
大槻:みうらさんが嫌がっても作っちゃう。
佐久間:最後に素晴らしいアイデアをいただきました(笑)。昨年のみうらさんのインタビューのときも、高円寺フェスは名前変えて高円寺大学にしちゃいなよ、と言ってくださって(笑)。
―高円寺大学ができたら、俺が学長になる、と(笑)。
大槻:素晴らしい。僕もそこで講座を持ちたいな(笑)。
佐久間:ありがとうございます! ぜひそれでお願いします!
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