高円寺の人々に愛され続ける食堂
JR高円寺駅から4分ほどガード下を歩くと、歴史ある老舗飲食店が立ち並ぶ。手軽に身も心も温まる定食、カレーライス、ラーメンを提供し続けている「ラーメン&カレータブチ」。創業以来30有余年そのスタイルは変わることなく地元の常連はもちろん若者達に愛されている。
タブチのメニューは昔からあまり変わっておらず、値段もほとんど変わっていない。「この値段あってる?間違っていない?」と思うような良心的な価格は、タブチのカレーやラーメンを心から愛す常連客にとっては、味だけではなく財布にも魅力的だ。400円の醤油ラーメンから700円前後(豚ロース生姜焼き定食、牛丼&カレーのW盛り合わせ)まで選択肢も十分だ。定番メニューのほか日替わりメニューもあり、時にはビーフシチューなど、定食屋らしからぬサプライズメニューも登場する。
悲しいできごとを乗り越えて
1988年のオープンから主人の田渕秀治さんと中国から来日した奥様の玲さんと2人で長年切り盛りしてきたタブチ。残念ながら秀治さんが2022年4月に他界し、現在は奥様の玲さんが一人で店のすべてを担っている。玲さんは、「常連のお客さまのご支援とご声援の賜物です」と感慨深げに語る。秀治さんが高円寺の多くの人々にとっていかに大切に思われていた存在だったかを知り、夫が人生をかけて作ったこの店を、自分も全力で続けていこうと決心したという。
懐かしいメニュー、懐かしい味
高円寺の芸人達からもおすすめの店としてテレビ番組に登場することも多い「ラーメン&カレータブチ」。大盛りメニューが紹介されがちだが、女性のお客さんが食べきれないほどのボリュームではない。食欲のある方なら誰でも大丈夫。大食漢を自称する食欲旺盛な人は、ライスを追加注文してもよいし、なんなら2品頼んでも、お財布にひびくことはないだろう。タブチの人気メニューといえば、カツカレーライス(600円)だ。柔らかいジャガイモと、よく煮込まれた透明感のある玉ねぎがカレーの甘味を醸し出している。カレーはあまり辛くはないが、お好みで卓上のスパイスで調整OK。特にカツは、この値段とは思えないほどレベルが高く、外はサクサク、中は柔らかくて旨味がたっぷり。歯ごたえもいい。
初タブチでも安心。注文方法をマスターしよう。外の券売機は、現在オブジェのごとく機能しておらず(故障中)、注文は店内のカウンターで直接告げる。お金を払ったら、しばし着席で待機。注文メニュー名かテーブル番号で呼ばれたらカウンターまで行って食事を受け取る。水はセルフサービス。「ごちそうさま」で食器をカウンターへ。時代を超えて愛されるタブチの味を堪能したいのなら、高円寺に用事があるなら、ぜひ足を運んでみてほしい。ご主人を失った悲しみを乗り越え、地元の方々の励ましを糧に、営業する定食屋の味は、どれほど深いものだろうか。物語とともに、店の雰囲気とともに味わうカツカレーは絶品だ。
- ラーメン&カレータブチ
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住所 東京都杉並区高円寺南3-67-1 電話 03-3337-4186 営業時間 月~土 11:00~20:30(L.O.20:00) 定休日 日曜日 元旦 参考 杉並区公式情報サイト「Experience Suginami Tokyo」
取材・編集:グレッグ・ムダリ 高円寺かよこ