イタリアンは東京の外食シーンでも不動の人気を誇るジャンルのひとつですが、中央線杉並エリアにも、わざわざ足を運びたくなるようなお店がたくさん揃っています。老若男女に親しまれる実力派の定番メニューから、珍しい郷土料理が楽しめるコアな一品まで、あれこれと希望が叶えられるのも魅力です。今回は、そんな中からフランクに立ち寄れる選りすぐりの4軒をご紹介。ランチにディナーに、出かけてみてください。
Lupi32(阿佐ケ谷駅徒歩4分)
世界が認めたナポリピッツァと厳選された自然派ワイン
中杉通りから一本道を入った静かな場所で2016年3月に営業をスタートした「Lupi32(ルーピトレンタドゥエ)」は、『ミシュランガイド』にも掲載される実力派レストラン。世界的なピッツァコンクールなどで数々の優勝経験を持つシェフ・志賀和真さんを筆頭に、茨城県つくば市にある名トラットリア「アミーチ」で働いていた腕利きのピッツァ職人やソムリエが集まり、本格イタリアンのフルコースを堪能することができます。
一番の目玉は、やはり本場顔負けのナポリピッツァでしょう。定番のマルゲリータは、生地、トマト、モッツァレラチーズとどれもこだわり抜いた素材が用いられ、シンプルながらも奥深い味わいの一品。スギやナラなどの薪を巧みに使い分け火加減を調整しながら、ナポリ直輸入の薪窯で、1分20秒〜30秒程度と時間との戦いの中で焼き上げられます。また、同じ窯で焼く青森県産・倉石牛の薪焼きも、オープン以来続く人気のメニューでおすすめ。自慢のワインも、自然派の赤・白・スパークリングが常時20種類ほど扱われ、全てグラスでも提供されています。
1階のカウンター席で広々としたキッチンの調理風景を眺めながら食事したり、2階のテーブル席で仲間と賑やかにワインを飲み比べたりと、楽しみ方も様々。「阿佐ヶ谷でずっと店を続けていきたい」と話す杉並出身の志賀さんの地元愛にも、触れてみてください。
- Lupi32
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住所 杉並区阿佐谷南3-32-1 電話 03-6886-2200 営業時間 18:00〜翌1:00(L.O.24:00) 土17:00〜翌1:00(L.O.24:00) 日祝17:00〜23:00(L.O.22:00) 土日祝ランチあり11:30〜14:00 定休日 月曜
Capio(阿佐ケ谷駅徒歩4分)
シチリアのマンマの味に舌鼓を打つ
小さな個人商店が軒を連ねる旧中杉通りに「魚介をたっぷりと使った南イタリアの郷土料理とイタリアワイン」がコンセプトの「Capio(カピオ)」がオープンしたのは、2016年12月。クスクス(世界最小のパスタ)で有名なトラパニ(シチリア島にある港町)で修行経験のある齊藤純さんが妻の夏子さんとふたりで営む、カジュアルな雰囲気の小ぢんまりとしたレストランです。
「トラパニの素朴なマンマの味、屋台の味を日本人にも伝えたい」という一途な思いで調理に向き合う純さんのイチオシは、魚のクスクス。三重県答志島直送の新鮮な魚を中心に、エビやイカ、貝などが贅沢に盛り付けられ、魚介のエキスをたっぷり染み込んだクスクスと混ぜて食べればスプーンが止まらなくなるほどです。最近は自家製チーズ作りにも取り組み、プーリア州の家庭で愛されるチーズメニューの開発にも注力しているのだそう。
シチリアの写真やサッカーチームのユニフォームなどが賑やかに飾られるブルーが基調の店内も印象的。使われている陶器類も全てシチリアで仕入れたもので、徹底したこだわりが感じられます。中にはシチリアでも滅多に手に入らない貴重な器もあるそうなので(インスタグラムでメーカー名をハッシュタグ検索してもアップされていない!)、そんなエピソードも思い重ねながら、シチリア気分を存分に味わってみてはいかがでしょうか。
- Capio
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住所 杉並区阿佐谷北2-36-1 電話 03-5327-8120 営業時間 金〜火11:30〜14:30(L.O.14:00) 18:00〜24:00(L.O.23:00) 定休日 水曜
Casa dolce casa(南阿佐ケ谷駅徒歩19分)
妥協のない南イタリアの本場の味に酔いしれる
善福寺川緑地のほど近く、五日市街道沿いに2019年9月にオープンしたばかりの「Casa dolce casa(カーザ ドルチェ カーザ)」は、「Capio」と同じく本格的な南イタリア料理が味わえるレストラン。シチリア島のアグリジェントという街で6年修行を積み、赤坂にある南イタリアの魚介料理専門店「ラ・スコリエーラ」で8年料理長を任されていたオーナーシェフの魚返(うがえり)健児さんが、サルデーニャ島出身の奥様や仲間たちと一緒に切り盛りしています。
このレストランで魚返さんがもっとも心を砕いているのは、シチリアの家庭料理特有の濃い味を限りなく再現すること。今回はそんな中、シチリアの伝統的なパスタ料理だというイワシとウイキョウ(フェンネル)を使ったスパゲッティをおすすめしてもらいました。脂ののったイワシと清涼感あるウイキョウに高級スパイスのサフランの香りが交わり、さらに干しぶどうの甘みやパン粉の食感も加わって複雑な旨味が生まれる、食べごたえある一品に仕上がっています。
イタリア語で「いとしき我が家」という意味を持つ店名のように、装飾も実にアットホーム。テーブルクロスはすべて奥様の手作りで、さらに奥様のご両親の描いた絵もあちらこちらに展示されています。住宅街に佇む南イタリアの雰囲気いっぱいのこの「家」に、ぜひ気軽に訪れてみてください。
- Casa dolce casa
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住所 杉並区成田西3-17-10 電話 03-6915-1800 営業時間 11:30~14:30(L.O.14:00) 17:30~23:00(L.O.22:00) 定休日 月曜(月曜が祝日の場合は翌日)
CICLO(西荻窪駅徒歩3分)
自然派ワインが常時1000本も揃う気鋭のイタリアン
西荻窪駅南口から五日市街道まで延びる旧府道に、一面ガラス張りの開放的な店構えで立地する2016年1月オープンの「CICLO(チクロ)」。吉祥寺の人気イタリアン「パノラマキッチン」を立ち上げた菊地得郎さんがオーナーを務め、DIYが得意なので、古くて広い蕎麦屋だった物件の柱などをそのまま活用しながら、自身で少しずつ手を入れ拡張し続けているというユニークなレストランです。「営業しながら、大人数で個室のように使える部屋を作り、ワインセラーを設置して、2019年6月には隣にカフェも出しました。いろいろと経験しながら楽しくやってますよ」と菊地さんは笑いながら話してくれます。
豊洲でいいあさりを入手したので、とサーブしてくれたのは、王道のボンゴレ・ビアンコ。パスタには、このお店では定番のスパゲットーニ(2.4mmもある太麺)を使用し、茹で時間が20分かかるもののもちもちした食感がたまりません。ワインは、自然派ばかりをなんと常に1000本ほどストック。毎年イタリアに出向いて生産者と直接交流するなど力を入れており、メニューを用意せず客の好みに応じて提案していく個性的なスタイルをとっています。
取材中、ご近所の「麺尊RAGE」の店主・広田圭亮さんも隣のカフェにご来店。日頃から贔屓にされているようなので、この人気店同士のコラボなども期待したいですね。
- CICLO
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住所 杉並区西荻南2-22-6 電話 050-5594-4945 営業時間 17:00~24:00(L.O.23:00) 土日14:00〜24:00(L.O.23:00) 定休日 水曜、第2火曜