西荻案内所のガイドで骨董通り・東京女子大学界隈を巡る

ターミナル駅の吉祥寺と荻窪のあいだに挟まれ、のんびりとした空気が独自の雰囲気をつくり出している街・西荻。このエリアは、まだ井荻村と呼ばれていたころに行われた区画整理で、一部が碁盤の目のようになっています。だから歩きやすく、街歩きにもぴったり。今回、そんな西荻の街をガイドしてくれるのは、西荻案内所所長の奥秋圭さん。骨董通り・東京女子大学界隈に点在する、比較的新しくも西荻らしいお店を中心にご案内します。(西荻案内所はに閉所しています。)

世界にひとつしかない青いハッピ姿が眩しい所長の奥秋さん。

世界にひとつしかない青いハッピ姿が眩しい所長の奥秋さん。

西荻案内所
住所 杉並区西荻北3-18-10
電話 03-6454-7663
営業時間 13:00~18:00
定休日 木曜

西荻北の最大のランドマーク「トトロの樹」

最初のスポットは、「トトロの樹」。樹齢200年の大きなケヤキで、西荻という街を語るとき、やはりここは外せません。この樹、実は2008年頃に伐採の危機がありました。結果的には、地元住民の方々の献身的な保存活動によって免れ、今も西荻北のランドマークとして 慕われています。なぜトトロの樹と呼ばれているのかは諸説あります。宮崎駿監督がこの樹を見て作品のインスピレーションを得たという噂がある、樹のかたち がトトロに似ている、街の人たちが勝手に呼びはじめた—–。しかし、最近ではいろいろな由来があること自体をみんなで面白がっているそうです。

坂の上のけやき公園にそびえ立つトトロの樹。

坂の上のけやき公園にそびえ立つトトロの樹。

トトロの樹の目の前にあるカフェ「アトリエ・カノン」店主の山中さん。トトロの樹保護のために集めた署名は8000名以上にのぼりました。

トトロの樹の目の前にあるカフェ「アトリエ・カノン」店主の山中さん。トトロの樹保護のために集めた署名は8000名以上にのぼりました。

カフェでは親父バンドの演奏会など月イチの頻度でイベントが開催されます。

カフェでは親父バンドの演奏会など月イチの頻度でイベントが開催されます。

アトリエ・カノン
住所 杉並区西荻北4-15-13
電話 03-5938-1870
営業時間 11:30~19:00
定休日 木曜

築82年の建物で開催される「手しごと市」

次に向かったのは、井荻會館で毎月第4日曜に開かれているという「手しごと市」です。会場の井荻會館は、築82年 の歴史ある建物。“市”というだけに、会場内は活気が溢れていました。手作りアクセサリーから包丁研ぎ、青果の販売まであります。お昼にはお弁当も買えるので、一日ここで過ごすのもアリですね。おしゃべりが大好きな西荻の人たちが考えた理想のバザールといった雰囲気で、のんびりと買い物が楽しめる空間です。

開催時間の10時から17時の間、常に賑わいをみせます。

開催時間の10時から17時の間、常に賑わいをみせます。

出展者とのおしゃべりも魅力のひとつ。

出展者とのおしゃべりも魅力のひとつ。

井荻會館の手しごと市
住所 杉並区西荻北4-35-9
電話 03-3310-2460
営業時間 10:00~17:00
定休日 第4日曜

白を基調とした内装が特長的な「Gallery蚕室」

井荻會館から歩いてすぐのところに、この「Gallery蚕室」があります。もともと西荻に住んでいたオーナーが「出店するなら憧れのこの骨董通りで!」と2013年に開いたギャラリーです。オーナーがセレクトした作家の企画展示(コンテンポラリーアートからクラフ トまで)を2週に一度のローテーションで展示しています。「西荻は店主同士の仲が良い街」とオーナーも語るように、他店のDMも多く並びます。「隣に吉祥寺という大きな街があるので、西荻に来てもらうのに一体感を持つことが大事なんだと学びました」と話してくれたのが印象的でした。

ギャラリーは社交場も兼ねています。おしゃべりに来る西荻マダムも多いとか。

ギャラリーは社交場も兼ねています。おしゃべりに来る西荻マダムも多いとか。

全面ガラス張りでつねに光が射し込むギャラリー内。

全面ガラス張りでつねに光が射し込むギャラリー内。

オーナーの小沢さん自身も作家として活動しています。

オーナーの小沢さん自身も作家として活動しています。

ギャラリー蚕室
住所 杉並区西荻北4-35-5
電話 03-5303-9882
営業時間 13:00~19:00
定休日 月曜、火曜、水曜
ホームページ https://san-shitsu.com/

夏はかき氷、秋冬はコーヒーの古道具屋「田螺堂(たにしどう)」(田螺堂)

その通りを少し南下すると、独特の佇まいの「田螺堂(たにしどう)」 が現れます。古布や古紙をはじめ古道具を扱う店で、2014年にオープンしました。この店は構造がユニークで、一見すると別の店が2軒並んだように見えますが、奥の居間で繋がっています。右側は前述した古道具全般が置かれ、左側は喫茶スペースになっています。夏のあいだはかき氷を提供していましたが、秋以降はコーヒー(400円)がいただけるとのこと。ゆったりした時間が流れるこの店、奥秋所長によると「西荻濃度がかなり高い」のだそうです。

古道具のスペース。空間が贅沢に使われているので、ゆっくりと商品を見ることができます。

古道具のスペース。空間が贅沢に使われているので、ゆっくりと商品を見ることができます。

左側の喫茶スペース。今は秋冬限定のコーヒーがいただけます。

左側の喫茶スペース。今は秋冬限定のコーヒーがいただけます。

お茶うけのフガシも絶賛販売中(1袋350円)。

お茶うけのフガシも絶賛販売中(1袋350円)。

田螺堂
住所 杉並区西荻北4-18-8
電話 03-6913-7621
営業時間 12:00~18:00
定休日 水曜、その他時々休み
ホームページ https://tanishidou.jimdofree.com/

 

生粋の西荻人がリペアする家具屋「ノースウエストアンティークス」

続いて訪れたのが、そのすぐ先にある「ノースウエストアンティークス」。アンティークの街・西荻らしさに溢れた、イギリスと日本の家具を中心に揃えた専門店です。扱うのは、イギリスは1920~30年代、日本は昭和初期の家具が多いとのこと。昔の家具はリペアしないと使えないので、置いてある全ての家具は丁寧に手入れされています。値が張ってちょっと手を出しにくいかな…と思われる家具から、おてごろ価格で買える小物まで。あれこれ探検したくなる店内では“めっけモノ”を発見できるかも知れませんよ。

西荻の老舗アンティークショップ慈光を独立した二人が始めました。

西荻の老舗アンティークショップ慈光を独立した二人が始めました。

「店の雰囲気に合えば何でも置きます」と店主の平山さん。

「店の雰囲気に合えば何でも置きます」と店主の平山さん。

店内には所狭しと家具が並びます。

店内には所狭しと家具が並びます。

西荻生まれ西荻育ちの望月さん。ちょうどリペア作業を行われていました。

西荻生まれ西荻育ちの望月さん。ちょうどリペア作業を行われていました。

田螺堂
住所 杉並区西荻北4-18-6
電話 03-3396-2040
営業時間 10:00~18:00
定休日 水曜
ホームページ https://northwest-antiques.com/

ストイックな職人のパンに魅了される「タグチベーカリー」

骨董通りから場所を移り、東京女子大学付近へ。西荻はパン屋激戦区としても有名ですが、なかでも奥秋所長が「きっちり美味しいパンを出す店」と太鼓判を押すのが、この「タグチベーカリー」。整然とショーケースに並ぶパンは50種類以上にも及びます。対面販売にこだわ るご主人からは「たとえば、晩ご飯のレシピに一番ぴったりのパンを紹介します。何でも聞いてください」と力強い言葉が。取材中もお客さんがひっきりなしに やって来ていましたが、それだけでも地域に根付いた人気店ということがよくわかりました。

シックで堂々とした店構えも人気の秘訣でしょうか。

シックで堂々とした店構えも人気の秘訣でしょうか。

取材スタッフが思わず買い込んだパンの数々。美味しくいただきました。

取材スタッフが思わず買い込んだパンの数々。美味しくいただきました。

対面販売だと会話も弾み、つい長居してしまいたくなります。

対面販売だと会話も弾み、つい長居してしまいたくなります。

タグチベーカリー
住所 杉並区西荻北4-26-10
電話 03-6913-9853
営業時間 9:00~19:00(売り切れ次第終了)
定休日 月曜、第3日曜

西荻はパリのマレ地区「Boîte(ぼわっと)」

締め括りは、夏にオープンしたばかりのフランス雑貨を扱う「Boîte(ぼわっと)」へ。パリ在住のフォトエッセイストとのまりこさんがオーナーを務める店です。「西荻は目利きの人が多く、自立した大人の街。パリのマレ地区とよく似ているんです」とは店長を任されて いるじゅんこさんの弁。店内はまるで蚤の市状態で、パリのマルシェで実際に使われている木箱が並び、なかを覗くと色とりどりの雑貨がたくさん。店の奥がカフェスペースになっているので、買い物と休憩が兼ねられます。西荻の新たな注目スポットの誕生です。

2014年8月にオープン。なんと!コピーライターの糸井重里さんも来店したとか。

2014年8月にオープン。なんと!コピーライターの糸井重里さんも来店したとか。

店長のじゅんこさん。オーナーのとのさんに「お店を出すなら絶対西荻!」と勧めた西荻愛に満ちた方です。

店長のじゅんこさん。オーナーのとのさんに「お店を出すなら絶対西荻!」と勧めた西荻愛に満ちた方です。

カフェスペースには圧巻のカフェオレボウルのコレクションが。貴重なツバメ柄のものもあります。

カフェスペースには圧巻のカフェオレボウルのコレクションが。貴重なツバメ柄のものもあります。

ぐるりと雑貨で溢れた店内。ここにいるだけでテンション上がります。

ぐるりと雑貨で溢れた店内。ここにいるだけでテンション上がります。

Boîte(ぼわっと)
住所 杉並区西荻北4-5-24
電話 03-6762-7500
営業時間 10:00~19:00
定休日 火曜
ホームページ https://www.boite.tv/

早足で紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。店(場所)のジャンルはそれぞれですが、話を伺ったなかで共通して感じられたことは、皆さん本当に西荻が大好きだということ。そんな感情が街全体の雰囲気をつくり、訪れる人たちにも伝播して西荻の魅力を生み出しているのですね。まずはこのなかで、ひとつでも「行ってみたい!」という場所を見つけてもらえたら嬉しいです。そして西荻案内所に出向いて相談して(!)、自分なりの散歩コースを歩いてもらえたらと思います。

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※本記事に掲載している情報は2014年11月06日公開時点のものです。閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、予めご了承ください。